エキストラにならないこと~それは暗黙の了解を打ち破ること~
とにかく以下を読んでもらいたいと思います。
弁財天うららさんのブログ 世にも奇妙な物語「エキストラ」
①~⑧より連続転載開始
エキストラ
そのアルバイトが、ボクの一生を決めるとは思わなかった・・・
面接官 「俳優を目指してるの?」
香取 「一応、劇団やってました^^。」
面接官 「うちは、そんなんじゃないの。
日曜日の須磨寺駅前に、午前11時30分に行ってくれる。
放し飼い散歩が来るからこの台詞を言ってくれる?
紙、見ないようにね~。」
香取 「テレビドラマか、映画ですか?
カメラはあるんですよね?」
面接官 「イヤ、カメラはない!」
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須磨寺駅山側
白い犬1匹はつなぎ、4匹は放している。
香取 「来た来た、たぶんアレだ!」
台詞
K(香取) 「4匹の放し飼いですか~?」
そこへ赤ちゃんを乗せた乳母車が通り過ぎる。
飼い主 (知らん顔)
K 「赤ちゃんを襲いませんか~?」
飼い主 (知らぬ顔で去って行く)
K 「この犬ら、何匹もネコを殺しているでしょ!
白い犬に、気をつけてあげてくださいよ~。」
飼い主 (振り返るが、そこには誰も居ない)
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香取 「ここまで、だよな~。」
(カメラを探す)
香取 「帰っていいのかな~?
こんなので、お金をもらえるのかな~?」
ギャラはちゃんと翌日、振り込まれていた。
生活のため、エキストラの仕事を続けた。
すし屋
香取 「にぎりは食べるな!って言われているので、並のバラ寿司。
お茶は要らない連想するから、水。」
どう考えても、何の意味もないような台詞が多かった。
隣に座っていた男Yがレジで、
Y 「この店の2階の犬、うるさいね^^
うちもそうだから、良いんだけど^^。」
香取は隣の席で、Yの台詞を見つける。
香取 「?」
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エキストラの事務所
香取 「なんか、意味はあるんですか?
面接官 「意味はある。だからギャラを支払っているんだ。」
香取 「でも誰も見てない所で芝居だなんて・・・」
面接官 「これは見る、見られないの問題じゃない。
君が台詞を言う。
それがその場にすんなりと納まる、それで良いんだ。
はい、次の仕事^^。」
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人が大勢歩いている広場
香取 「お久しぶりです^^、
八百屋の東海林さん^^。」
歩いている人の足が、一斉に止まって、こちらを見つめてくる。
香取 「え! え?」
(時間が止まった様な現実を見渡す)
香取 「東海林さん、、、」
止まっている人たちが首を振る。
Y 「、、、、、
(小さい声で)ショウジて、読むんだ。」
香取 「お久しぶりです^^、
八百屋のショウジさん^^。」
止まっている人たちが、何事もなかったように動き出す。
香取 (・・・? オレが台詞を間違えたから?)
Y 「やったコトは、必ず返されるね~(苦笑)
君も気をつけといた方がいいよ。」
香取は広場で話している人たちに近づいてみると、
そこに隠されていた台詞書きを見つける。
香取 「・・・?
一体どうなっているんだよ~、
みんな、台詞をしゃべっていたのか?」
精神神経科
香取 「も~、どうかなちゃってるかもしれないんです!
ボクはエキストラの仕事をしているんですが・・・カメラとかないんですよね~。
昨日ボクが台詞を間違えたら、町中の人たちにボクはジーッと見つめられて!」
医師 「あなたは、放し飼いとスシ屋に、悩まされている。
あなたは、 失礼な言い方だが、売れない役者だ。
頭の中は、放し飼いとスシ屋でいっぱいなのに、台詞を生かす場がない。
その捻じ曲げられた願望が、町の人たちがみんな台詞を言っているという妄想を生んだのです。」
香取は、医師が台詞を言っているコトに気づく。
香取 「先生? ・・・あんたも~」
香取は病院から逃げ出す。
香取は逃げている時に、Yと出会う。
Y 「そっか~、君はまだ気がついてないのか~^^。」
香取 「だから、どういう事?」
Y 「じゃ聞くが、首相が首相らしく、弁護士が弁護士らしく話すのは何故だ?
・・・誰もが台詞を言っているんだよ。
ごらん、楽しそうなカップルを、チラチラテレビを見ているだろう?
テレビの文字を見てみろよ。」
テレビ画面下 (女 ねぇ、最近デートの回数減ってない? 男 そう?)
Y 「そして出前を叱るスシ親父、彼らの台詞は大スポの中に忍ばせている。」
(新聞の中)
スシ親父 「お前、見られたぞ! 歩道は走るなって言っただろ~、、、
アイツ、須磨警察へ通報!とかで書くぞ、きっと、、、」
出前 「一回、脅しましょか?(笑)」
スシ親父 「アイツ、元ボクサーだぞ~!
ギックリ腰だとか書いてるけど、アイツは演技派だからな~。
アイツの書いてる事を迂闊に信じるなよ!」
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Y 「世界中の誰もが、その役の芝居をしているんだよ。
そして人生にも、主役とエキストラが居るんだ。
何故なのかはワシも知らんよ。
ずーーっと前から、そうだったんだよ。
そうして、世の中はうまくやってきたんだ。
中には気づかずに一生終わるヤツがいる。
テレビや新聞、その他多くに忍ばせられている台詞を無意識に読まされているのにな。
君や私は、臨時雇いだ。
欠員がでればどんな役でもやる!
いい所に連れて行ってあげよう^^。」
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焼却場
Y 「ごらん、台詞が燃えている。
人々が消費した、台詞がね。」
燃える台詞
I 「ネコの次は、ウララまで、、、
たぶん音の出るボールか鈴で誘って、3階から落としやがった、、、
隣の可愛がられていたネコちゃんも行方不明にしやがって!」
I (ウララの赤ちゃんが1匹、死にそう、、、という知らせ)
「まだ生後3日だろう~?
名前も首輪の『きみどり』しかついてない。
こんなんで死んだら、何のために生まれてきたんだよ~!
お~、あれは、放し飼い?!
居た~、、、ダメだ~~、
これが、死神の知らせか?
きみどり~! 生きろ~~!って、、、
運命なんか変えてやれ~! ウララの子供やろ~~(泣)」
I 「私はね、ネコを見殺しにしたんですよ、、、
放し飼いの複数の犬に襲われ傷ついてるネコを、強烈に蹴り飛ばしたのは、
店の御得意さんの家族だという事を知っていたから、、、
結果は、知ったらいけないと思った。
自分を抑えられなくなるから、、、
その後に、私は犬を飼った。
ウララが一瞬で縫い包みを壊す姿に、ドアの向こうの見えなかった出来事が見え始めたんだ、、、」
香取 「イヤ!でも、言葉って、
自分の思っていたことを、素直に言うって事だって、思ってた。
それは、いけないの?」
Y 「良いことか、悪いことか、それはわからん。
ただみんな、台詞に従う。
そう決められている。
台詞の秘密を知ったからには、君もな。」
香取 「おじさんが今日しゃべった言葉は、台詞?」
Y 「台詞じゃ~ない(笑)
第一、こんな長い台詞は貰った事がない。
私は、ただの人生のエキストラさ。
・・・・それで良いと思っている。
主役を夢みても、しょうがない。
おかえり、
娘(U)だ。
娘は台詞以外、しゃべらないんだ。
でもね、こんな私にもやっと大役が回ってきたんだ。
長年エキストラをやってきた御褒美かな^^。
清掃員の役だ。
『オレは30年も毎日、市庁舎の床をピカピカに磨きあげてきた。』
香取 「あんまり、大役には思えないんだけどね、、、」
Y 「ま~、見てろって^^。」
本当に、人は台詞をしゃべっているだけなんだろうか?
正直なところ、半信半疑だった。
ドア下に、封筒が差し込まれていた。
中身は台本
男が部屋に入り、テレビをつけると、女性レポーターがしゃべっている。
「ここは市庁舎ビルの裏です。」
男の知っている男が飛び降りようとしていた。
テレビをつけてみる。
台本と全く同じ。
香取 「まさか・・・」
Y 「私は30年間、一生懸命働いてきた。
その御褒美がこれか!
雑巾のように捨てやがって!リストラ反対~!」
香取 「おじさん!止めてよ!これが大役?
役のために死ぬつもり?」
Y 「今日は、私が主役だ^^。」
男は飛び降りる。
香取 「オレは、ごめんだ!
台本なんて、 台詞なんて、要らない!」
娘(U) 「キャー! ひど~い、、、」
(台本を読んでいる)
見物人 「生命保険に入っているのか~?」
(台本を読んでいる)
見物人 「初めて、見ちゃった」
見物人 「なに?なになに?」
(台本を読んでいる)
香取 「やめろ~!
お前たち、いい加減に止めろ!
台本を捨てろ!
自分の言葉で話して、自分の人生、生きろよ~!
台詞しかしゃべっちゃいけないのかよ~?
ボクの人生は、ボクが主役だ!
エキストラじゃないんだ!」
香取の背後に注射器を持った女が忍び寄る。
自分の部屋に帰ると、違う人が住んでいて追い出された。
表札も変わっていた。
台詞を拒否した罰なのだろうか?
ボクは住む所も奪われた。
レストラン
ウェイトレス 「いらっしゃいませ^^」
メニューを見ると(僕はエキストラを降りたから、食事はいらないんだ)と書いてある。
香取 「コーヒー」
ウェイトレス 「(無視)」
台詞じゃないボクの言葉はことごとく無視され、
食べるコトも許されなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ホームレスの群れ
香取 「お願いだ、、、何か食べるものを、」
ホームレス 「あんちゃん、新顔だな。」
香取 「お兄さんたちも、台詞を拒んだから?」
ホームレス 「そうさ、俺たちは仲間だ^^。
今日は特に冷え込むぜ~
ま~、一杯やんな^^。」
香取 「ありがとう^^。」
ウィスキーのボトルを見ると、そこには台詞が書き込まれていた。
香取 「・・・・?!」
この世界に台詞のない世界などどこにもないと、ボクは思い知らされた、、、
エキストラ事務所
面接官 「いつか戻ってくると思っていたよ。」
香取 「まだボクにできる仕事はありますか?」
面接官 「エキストラでよければ。」
香取 「なんでもやります、、、」
面接官 「今度はちょっと長い役なんだけど。」
香取慎吾の人生
~ある平凡なサラリーマン~
の台本が山積もりされていた。
香取 「・・・? これって?」
面接官 「君には、平凡なサラリーマンの人生をやってもらう。
人生のエキストラだ。」
香取 「ボクの、・・・・10年後。」
面接官 「子供ができる。名前も決まっている。」
香取 「ボクの、・・・・・20年後。」
面接官 「ローンで家を買う。」
香取 「ボクの、・・・・・30年後。」
面接官 「そう、全部書いてある、毎日の台詞が一生分。」
香取 「まさか、ボクが死ぬ日のこともここに?」
面接官 「君は運が良い。
寿命はまっとうできる。
それに平凡だが幸せな結婚生活。
奥さん役のオーデションだって済んでいる。
香取 「そんな、 ボクだって自分の奥さんぐらいは・・・
・・・・気になる子がいる。でも、まだ名前は聞いてない。」
面接官 「自分で選びたいか? でもダメ。
君はただの、エキストラなんだから・・・」
こうしてボクは、平凡なサラリーマンの役を演じはじめて1年経った。
このレールに乗っていれば、もう何の心配もない。
飢えることだってない。
台本を順調にこなしていき、いよいよ結婚する女性と出会う日がやって来た。
香取 「・・・・・」
女性 「・・・・台詞」
香取 「止めてやる。
こんな生活止めてやる。」
香取が好きな女性(U)
(自殺した掃除員の娘)
好きな女性 「こんな芝居してちゃダメだ。
君のお父さんを犬死にさせちゃダメだ。
この世はドラマなんかと違う。
台詞なんか必要ないんだ。
告白する!
初めて会った時から、ずーーっと気になっていた。
一緒にボクと、こんなバカ気た世界から抜け出そう!
教えてほしいんだ、君の事を・・・」
女性(U) 「・・・はる香」
香取 「微笑」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
道に落ちている台本が風で開く、そこには、
香取 「教えてほしいんだ、君の事を・・・」
女性(U) 「・・・はる香」
香取 「微笑」
ここまで
私は、この再放送を見て、数週間考え続けました。
というのも、自分の人生と世界の様子との関わりという深いテーマが存在することに
気がついてしまい、自分という人間、そして自分の人生は一体だれが作っているのか
と思うようになったからです。
本当に衝撃的でした。
人生において、主人公は自分だというフレーズは良く聞きます。
しかし、エキストラになるなという表現はほとんど用いません。
自分の思うようにいかないこともあるのは誰しも同じです。
しかし、知らないうちにお決まりのセリフを言わされたり、
自分の言葉で語り、自分で判断することを空気が咎める場合ってあると思うんです。
そう、「空気を読め」っていう無言の圧力と、暗黙の了解。
そうするうちに、自分で考え、自らが問題を解決しようとすることが
なくなっていくんですね。
皮肉なことに、“自己責任”を繰り返すようになると、
これは自分だけで決めたことじゃないからと言って、
良心に反することを平気で行えるようになる。
「見えない脅威」に煽られて、
人殺しも何とも思わなくなるということである。
そんなスパイラルから脱却するには、
自分の想いを自分の言葉で語るしかない。
簡単なことのように思うけど、特に閉鎖的なこの日本社会では
とても難しいことだと思う。
しかし、そういう見えない壁を放置しておくわけにはいかない。
自分の人生を決めているのは誰か。
シナリオライターは誰か。
しっかり考えて生きていけたらと思うのである。
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